2009.3.10
我が国の木材総需要のうち81%が輸入木材とされており、丸太輸入量は全世界の4割を占めていると言われています。
日本は木材輸入大国と言っても過言ではありません。
材木を輸入に頼るようになったのは第二次世界大戦後の復興需要により、国産材の価格高騰が端を発したというのが定説です。
それ以来輸入を続け、幾度に及ぶ林野庁の政策にも関わらず、輸入依存は変わらずです。
しかしそれには問題も伴います。
記憶に新しいのは2009年1月1日からの、ロシア政府による輸出関税の大幅アップです。ロシアからの輸入は、金額ベースで考えても上位10カ国に入っていますし、その内容が「原木」であるので、やはりこの関税アップには国内の木材メーカーは打撃を受けます。
特に合板の原料となる丸太が大きい。
日本の丸太とは違い、ロシアのそれの方が強度があり加工して利用しやすいのです。
この関税アップの背景には、ロシア国内に製材工場を立ち上げ、産業を活性化させたい、という狙いがあります。
このように、材木に限らないことですが輸入に頼るということは、外国の政治的なリスクや市況に左右されやすいということでもあります。
過去にも、1992年のマレーシアによる丸太輸出禁止を皮切りに、アメリカにおける州有林の伐採禁止、さらにカナダで長期港湾ストが起きたことにより、木材に関する三重苦を強いられた「ウッドショック」呼ばれる現象が起こりました。
先ごろ国交省が基本方針を定めた「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(=長期優良住宅普及促進法)」に対する与野党共同の修正案には、伝統的木造住宅や国産材利用について国が取り組むことなどが追加されています。
2回目のモデル事業の募集結果では、48件の提案事業のうち11件が国産材関連の事業だったと言います。
修正案は4項を新設、1項を追加しています。
基本方針を定めるに当たっては、「国産材の適切な利用を確保することにより、我が国の森林の適正な整備及び保全が図られ、地球温暖化の防止及び循環型社会の形成に資することに鑑み、国産材その他の木材を使用した長期優良住宅の普及が図られるよう配慮するものとする」と国産材表記を国の法律に例示記載されています。
木材自給率を高める政策にいよいよ真っ向から取り組む時期になってきたのではないでしょうか。
例えば在来工法住宅などでは、現在輸入木材を使用している部分でも、見直しや商品開発によっては国産材に転換できると言います。
国内で生産した木材を国内の需要にあてはめるというのは、材木産業の活性化にもつながります。
外国産と国産を比べるとそれぞれには欠点もあれば長所もあります。
大事なのは、何をどこに使うか、ということをよく見極めたうえで「適材適所」していくということではないでしょうか。
国産材を使いこなしていくことが、これからの住宅産業にも求められてきそうです。
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