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2013.11.19

ドムス香里

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設計の池田です。

先日大阪に行く機会があり、いくつかの建築を見学に行ってきました。
その一つが大阪府寝屋川市にある「ドムス香里」です。

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これは建築家の石井修氏が設計した長屋型の集合住宅で、
くの字に雁行した道を挟んで賃貸棟と分譲棟が向かい合う形で並んでいます。

一般的に集合住宅の計画ではいかに建蔽率と容積率を使い切りめいっぱいに建物をつくり収益性を上げる事を目指します。その為最近の集合住宅はどれを見てもそう大差が無いように見えてしまい、
集合住宅を評価方法が「駅からの距離」や「築年数の浅さ」などになってしまい、
より駅近の物件、より新築の物件が近くに出来れば賃借人の募集が困難になってしまう事が多々あります。

このドムス香里は最寄りの駅からバスで20分、1軒の間口も床面積も大きく無く、
1981年築ですから築年数はすでに30年以上の物件になります。
一見、誰も見向きもしない空家が多く寂れた集合住宅かと思われそうですが、
このドムス香里はまだ多くの人が住んでいて、賃貸棟もほとんど入居しているのです。

あえて、建蔽率を40%程度に抑え、建物の高さも抑え、豊かなオープンスペースを作り、
それぞれの住戸に中庭や前庭をつくり、緑を植えこの集合住宅全体が緑に包まれ、
まるで森の中にあるかのように感じられるように作られています。
設計者の石井修氏の著書「緑の棲み家」にあるように、年月を重ねながら自然と同化する建築であり、
30年以上の時を経てようやく完成した空間という感じがしました。

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ここまで緑が多いと問題になる事がこの植栽の管理です。
ドムス香里では緑を管理する職員の方をしっかり設けていて、
訪問した日も”駅から遠く、古く、狭い”この集合住宅の最大の魅力であり売りである豊かな植栽が常に綺麗であるように管理をされていました。
30年の月日は確かに建物の傷みを感じる部分もありましたが、
住民に愛され、管理されて住み続けられているとても幸せな建築のひとつだと感じました。

池田 大基

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