2009.3.25
三月も下旬に差し掛かり、まもなく四月になろうとしていますが、今年の四月は、例年以上に大きな意味を持つ月となりそうです。
それは「エネルギーの使用の合理化に関する法律」、通称「省エネ法」が改正されるためです。
なかなか進まないエネルギーの合理化。
特に省エネの進みが著しく遅い業務・家庭部門の対策を強化するために今回の改正が決定されたのです。
まず、業務・事業者部門に関してですが、現行の省エネ法では、年度内のエネルギーの使用量が原油換算で1500キロリットル以上の工場・事業場ごとに「エネルギー使用状況の届出」など様々な義務が生じていますが、二酸化炭素(CO2)排出量の伸びが大きい業務部門の多くが、その網から漏れているという問題があるのです。
それは小さな事業場を数多く設置している事業者が多く存在するためであり、その結果エネルギー消費量ベースの1割程度しかカバーできていないためだと言われています。
そこで今回の改正案では、これまで工場や事業場単位で計上されていたエネルギー使用量を、複数の工場や事業場をまとめた「事業者単位(企業単位)」で管理することと定められます。
つまりコンビニエンスストアやファミリーレストランなど数多くのフランチャイズチェーンが、単一の事業者として規制対象になります。
同時に、これらの店舗がテナントとして入居するビルも、建築物全体のエネルギー利用について把握することになり、省エネにつながるのではないかと期待されています。
次に住宅・建築物に関してですが、現行法では、延べ床面積2000 m2以上の建築物は、「特定建築物」として所管行政庁へ省エネルギー措置の届出と3年ごとの定期報告が義務付けられています。
結果、2006年には、2000m2以上の新築建築物の8割以上が省エネ基準に適合するようになったので、この対象範囲の下限を大幅に見直し(政令で300m2に)、中小規模の建築物や一部の住宅までも届出義務等の対象に追加するようになるのです。
さらに住宅に関しては、これまでの躯体と開口部の断熱・気密性能と換気方法に加えて、設備機器の性能も盛り込んで評価されることになります。
住宅の年間エネルギー消費量を「一次エネルギー消費量」として算出し、省エネ性能の評価基準にするのです。また太陽光発電なども評価に加えることができます。
また規制の強化ばかりではありません。
業界ごとに、省エネルギーの状況がわかるような「セクター別ベンチマークの策定」、複数の企業が省エネの設備やノウハウを共有し、副産物の融通などで連携する「共同省エネルギー事業の推進」なども盛り込んでいます。
これら部門の規制対象範囲の改訂により、カバー率は大幅にアップに拡大する見込みだと、「経済産業省の総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会」が報告しています。
今や省エネは「経費削減」などの大義名分とともに掲げられる二次的な位置づけの目標ではなくなりつつあります。
本気で環境のことを考え、真剣に取り組む至上命題でもあります。
テラジマアーキテクツも省エネ住宅をつくり続け、省エネに真っ向から取り組んでいきます。
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