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2014.5.18

内藤廣展 アタマの現場

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設計の池田です。

先日、乃木坂にあるTOTOギャラリー間にて開催されている「内藤廣展」に行ってきました。

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内藤廣氏は現在も活躍する建築家の一人で、大学で教鞭をとる傍ら数々の建築も設計し、
近年は東日本大震災の復興に深く関わっている建築家です。

そんな氏の初期の作品から現在進行中のプロジェクトまでを展示し、
今まさに氏が考えている事を伝えるという展示になっていました。

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そしてこの展覧会の目玉の企画とも言う、氏自らが展示の一部となり毎週ギャラリートークを行うと言うものです。
まさに氏が今考えている事を展示するための一番の方法ではないでしょうか。
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さて、ギャラリートークを目当てに展覧会に行ったのが3月11日。
折しも東日本大震災から3年を迎える日でした。

震災復興の計画にも携わる氏が語った事は、計画の中で感じている忸怩たる思いでした。
岩手県の陸前高田や大槌町などで復興計画にかかわる氏は復興関連のいくつもの委員会に呼ばれ、
会議に出席しているとの事でした。
その内容を振り返り氏は「1勝9敗のような感じを続けている」と言いました。
復興計画の会議に呼ばれ、行ってみると、その内容は「防潮堤を何mにするか」という内容だったとの事でした。
その会議で20mの防潮堤を4kmにわたって作る事が決まったそうですが、
防潮堤というものは一度作ればいいというものではありません。
作ったものは雨風に晒され、潮風があたり劣化していきます。
人口流出が止まらない東北の地で、いざという時の為にこの巨大な防潮堤を
メンテナンスし続けるだけの体力がいつまであるのかという事。
また、山を一つ削り取り市街地を10m嵩上げし、区画整理事業を行うという事についても
区画整理はどんなに早くても10年~20年はかかる事、
区画整理事業というのが基本的にその場所の地価が上昇するという事を前提に行われる事業だが、
高齢化が進み人口が減る街においてその前提は本当に正しいのか。といういくつもの疑問があると言います。

そのことを役人に問うと「阪神大震災の時も同じ手法で復興をしてきた」と言うそうです。
しかし、本当にあの当時の神戸と同じ方法で大丈夫なのでしょうか。
そのままにしていても人口が流入してくる大都市の神戸と高齢化が進む東北の各町が同じ方法で
本当にうまく行くのでしょうか?
区画整理が完了する十数年後にはその分だけ高齢化が進みます。

その時、地方自治体の財政状況で大きい計画を支えるだけの体力があるでしょうか。
もし、無くなってしまった場合、その自治体は破綻に追い込まれ「夕張」のようになってしまうかもしれないと
語っておられました。
もう計画は進めてしまっているので、方向転換する事は出来ない状況になってしまっているそうです。
もし震災後もっと早い段階で「防潮堤+高台移転」という一つの結論ありきではなく、
幅広い議論が出来たならと苦い思いを伝えてくれました。

我々建築にかかわる末端の人間も、直接かかわる事は出来ないとしても常に考えて復興を見守り、
支えていく必要があるのだと思います。

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