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2014.1.29

シンポジウム「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」【前】

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設計の池田です。

少し前のお話になりますが、
10月11日に、「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」というシンポジウムに参加してきました。

新国立競技場というのは既存の国立競技場の老朽化から建て替えが計画され、昨年国際コンペにおいてイギリスの建築家ザハ・ハディド氏の案が選ばれた競技場です。

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2020年の東京オリンピックが決定した時にニュースなどで見たことがある人も多いと思います。
この競技場について建築家の槇文彦氏らが中心となり行われたのが今回のシンポジウムです。
槇氏らはこの競技場についていくつかの問題点を挙げ、今後どう進めていくことが東京をはじめ日本にとってより良い道なのかを考えようと訴えています。

■場所・規模の問題
この競技場は現在の国立競技場の建て替えになりますので、場所はみなさんご存じのとおり神宮外苑に建てられる予定です。
神宮外苑は、旧青山練兵場跡に造成され大正15年に明治神宮に奉献された「聖徳記念絵画館」を中心とした公園で今日では様々なスポーツ施設などが運営されています。
今では緑にあふれた場所ですが元々は明治神宮の内苑からの流れを組み、植林により作られた人工の森で、1926年に日本初の風致地区に指定された経緯もあり都市景観と自然の調和を目指した場所になります。
この新競技場は既存の国立競技場の観客席は2倍その他の施設も合わせると既存の2.5倍の大きさになる事をコンペで求められておりコンペに参加した建築家はそれぞれこの条件に合わせて提案をしました。もちろん現況の法律の中では建てることが出来ない大きさの競技場なので法律は改正され、風致地区などの制限は緩和されることになっています。

槇氏はこのスケールの大きさを問題だと考えています。
この新競技場の案は高さは最大で70mにも達し、規模も既存の2.5倍と圧倒的なスケールになることが予想されますが、これが神宮外苑という歴史的な遺産ともいうべき緑地の中に突如として現れる事が「完全なミスマッチだ」と述べています。
高さ70mという大きさは先のペキンオリンピックで使われた「鳥の巣」スタジアムと同様な大きさになります。

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北京オリンピックの会場は郊外にあり、さらに周囲に広大な空地をとりその巨大さをあまり感じる事は近くに寄ることがなければ感じることはありません。
しかし今回の新国立競技場はそれとは違い都市の中に建てる予定になっており、すぐ脇に生活する人が居て、通行する人が居る事が容易に考えられるためこの圧倒的なスケールの圧迫感は相当なものである事が考えられます。

・・・後編につづく・・・

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