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2013.12.11

棟梁と初めて会ったのは大田区の新築アパートでした。
私が担当していた物件ではありませんでしたが、何かの用で現場に行った際に体の大きな年配の大工さんだなぁという印象でした。

その後初めて担当してもらったのは大田区のスタジオ付きの住宅でした。年配のベテラン大工さんという印象でしたから(なにせ自分の親父と同じ歳)始めは緊張もしましたが、いつもニコニコしていてとても優しいのです。
忙しくてあまり現場に行けないと「何さんだったけー」とか言いながら電話をかけてきたり、その後現場に行くと「顔忘れちゃったよー」とか冗談が大好きな棟梁でした。
10時、3時には「お茶飲んでいけ」とせんべいを出してお茶を飲んだり、ついつい休憩時間も長くなってしまいました。

その後続けて2棟担当していただき、私の担当物件だけでも13棟ほどの物件でコンビを組ませて頂きました。
渋谷区の狭小住宅や、100坪の大型物件も淡々と仕事が出来、何でもこなせる懐の深さがありました。昨年完成した大田区の物件は立派な賞も獲得することが出来ました。

棟梁のチームはみなさんベテランでチームワークがよく、テラジマアーキテクツの中でも大型物件や、工期の厳しい物件など頼るところが多く本当にいろいろと助けられました。

私が最後にお世話になったのは品川の物件でしたが、着工早々に土砂降りの雨の中、作業をお願いしてしまったのが大変申し訳なく思っております。
足場や脚立にひょいと上り、年齢を感じさせない軽やかな動きで、私たちが力をこめて持ち上げる材料も簡単に担いだりします。長い経験から持ち方のバランスなども心得ての事なのでしょうが、そんな姿を見て、ついつい無理なお願いもしてしまった気がします。

注文建築ではありがちな変更や、保留事項によって作業が進まない事には、「みんな趣味で仕事をしている訳ではないんだよ。段取良くしてくれよ。」と優しい笑顔の中の鋭い目から感じられ、正直ビビりながら相談にも行ったこともありました。

工事途中、台風の接近の際など日曜日などでも現場が気になって、足場シートの台風養生もしてくれたり、又、工事途中の漏水などの原因究明には率先して手伝ってくれて、責任感のすごく強い棟梁。

懇親旅行では貸切バスの最後部で宴会を仕切って楽しそうにされた姿も印象に残っています。仲間の悪口は決して言わず、コミニュケーションを大切にしていた棟梁。建心会、新しく現場に入る職人さんに分け隔たりなく接していた棟梁。

お酒と旅行が大好きだった東さん、今年の親睦旅行に参加できないと悲しんでいたとお聞きしています。もっとゆっくりとお酒も旅行も楽しむ時間を持つことも出来ましたのに、私たちテラジマアーキテクツの家造りに共感いただき、最後まで現役でお仕事をしていただきました。現役のまま、お別れになってしまった事は本当に寂しい事ですが、棟梁が好きだった建心会、テラジマアーキテクツの事を、空の上から見守ってくれると思って、我々、棟梁からいただいたいろいろな思い出、経験を糧にこれからも頑張って参ります。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

今村修一郎

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