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2013.7.23

デザインが語る企業理念:オリベッティとブラウン

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設計の赤羽です。

建築の設計をしていると、空間そのものは勿論、その空間に存在する様々なモノにも、
自然ととても興味を持つようになります。
空間のアクセントとなる照明やソファーなどの家具から、より小さな電化製品まで…。

先日、武蔵野美術大学で開催されている
「デザインが語る企業理念:オリベッティとブラウン」という展覧会に行って参りました。

20世紀はじめの創設以来、
数々の革新的デザインプロダクトを世に送り出している二大企業についての展覧会で、
それ自体非常に興味があったのですが、
私が尊敬してやまないデザイナー、ディーター・ラムス氏がデザインしたプロダクトの
実物を拝見できるということで、開催前からとても楽しみにしていました。

ディーター・ラムス氏はドイツの家電メーカー「ブラウン」で
長年チーフデザイナーを務め、ブランドの精神性をその製品のデザインで以って体現された方です。

ブラウンといえば我が国では男性用のフェイスシェーバーで広く知られていますが
元々はレコードプレイヤーやラジオなどの音響製品を製造していた歴史があります。

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日用のプロダクトとなると、製品の革新性や見た目の美しさだけではなく
操作がし易く実用的であること、機能的であること、飽きないこと、長く使えること、など
満たすべき要件が多々あると思いますが、
ラムス氏のデザインはそれらすべてを、
洗練された非常にシンプルなデザインに収斂させていると思います。

デザイン史に名を残すレコードプレイヤー「SK4」
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ポータブルラジオ「T24」
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ワールドレシーバー「T1000」
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AppleのiPodのデザインモデルとも言われるポータブルラジオ「T3」
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近年、アナログの電化製品は、デジタルのそれにとって代わられ、
ラムス氏がデザインされた家電の多くも廃盤となってしまって
このような機会でないと実物を拝見することも難しいのですが、
今でもその端正で美しい機能的なデザインを、新鮮な驚きを持って見ることができます。
また、他でもないそのデザイン自体がブラウン社の企業理念までも語る明快さにも、
大変感服いたしました。

建築の設計も、様々な要素を最終的に一つのかたちへ収斂させる作業であり、
その過程は苦しくも…それゆえ楽しくもあります。
表層的なものではない、その先へゆけるデザインを、
これからも設計者としても追求していきたい、などと、
巨匠のデザインに触れて改めて思った休日でした。
ブラウンの他のデザイナーの製品や、オリベッティの製品、広告ディレクションについても
まだまだ語りたいことがたくさんありますが、それはまた別の機会に…。

余談になりますが、展覧会が開催されていた武蔵野美術大学の図書館は
建築家・藤本壮介氏が設計された、木とガラスの建物です。

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実物を拝見したのは初めてですが、ガラスにキャンパス内の樹木が映り込み、
周辺の環境に溶け込んで非常にきれいな風景でした。

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