2010.10.22
先日、目白にある吉村順三記念ギャラリーで開催されている「小さな建築展〜井の頭の家〜」へ行って来ました。
「吉村順三」と言うと聞いたことがある人も居るのではないでしょうか?
このギャラリーはもともと吉村順三の事務所だった場所を、その建築思想と創作の姿勢を学ぶ場として元所員の方々などが運営しているギャラリーです。
規模は小さいですが、建物自体が吉村事務所が設計して使用していたものなので、細部の収め方、見え方などとても参考になり、実際に建っている物件の図面もすべて見せていただけるという設計者にとってはとっても”お得”なギャラリーなのでついついそっちばかりを見ていて時間を忘れてしまいます。
「井の頭の家」は約40年前に設計された小住宅の名作と言われている建物で、2度の改築工事を行い今も住まわれている住宅です。
小さな家を小さく感じさせないようにする工夫がよく見て取れてとても勉強になりました。
さて、このギャラリーに置かれて居る家具も吉村順三の設計によるものなのですが、その中から幾つかをご紹介します。
この照明、実はちょっと不思議なところがあるんです。
何処だかわかりますか?
照明の足の部分を見てみると…。
この照明は鉄のフレームに和紙を貼って作ってあるのですが、強度を出すために足には太い鉄の棒が使ってあります。
普通に作ってしまうとこの足の影が和紙の裏側に映り込み角まで光らせることが出来ません。
そこで、L型アングルという鉄の棒を使い和紙と接する部分は小さく、そして強度はしっかり取っています。
中を覗くとこんな風に…。
もう一つはこの椅子。
ホテルの遊技場の為に設計された椅子です。
特徴的な部分は肘掛け。この椅子はなぜか肘掛けが座面の半分程度しかありません。
何故だかわかりますか?
ホテルの遊戯室は当時、麻雀などのテーブルゲームを楽しむ為の場所でした。
トイレなどで席を立つ時に普通の椅子だと椅子を引いて立ち上がらなければなりません。
この時後ろの人の椅子や歩いている人にぶつかってしまうことがあります。
肘掛部分を短くすることによって横に抜けることが出来るので、立ち上がる時に椅子を引かなくて良いんです。
このような名作と言われる椅子や家具なども見れるこの”お得”なギャラリーでは、入場券の代わりに絵葉書が一枚もらえるので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
【池田】
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