2015.9.24
9月1日防災の日に大阪にて行われた「耐震住宅100%」第2回全国大会に参加して参りました。
「日本の家を100%耐震に。」という主旨のもと2014年7月よりスタートした本プロジェクトは
「2020年までに日本の家を100%耐震にする」というビジョン実現に向け、日々活動が行われ、
昨年度は最優秀レジリエンス賞の獲得など「耐震住宅100%」の活動認知に向けて、少しづつ前進しています。
今回は、耐震住宅100%実行委員会事務局でもあるSE構法供給会社エヌ・シー・エヌさんによる
2015年度「耐震住宅100%」プロモーション方針の発表、及び昨年度の報告が中心。
また、スポーツジャーナリストの中西哲生さんによるトークイベントから、
昨年の「あなたの残したい建物コンテスト」でグランプリを受賞した
「清水次郎長の生家改修プロジェクト」についての進捗報告など、盛り沢山の内容でした。
会場となったのは、大阪にある綿業会館。
昭和6年日本綿業倶楽部の施設として建設され、現在は国の重要文化財に指定されている歴史ある建物です。
設計は渡辺節氏が担当し、ヘッドドラフトマンには村野藤吾氏が参画しています。
この建物の大きな特徴の一つは、部屋ごとに異なる様式で内装がデザインされていること。
ホールはイタリアルネッサンス調。
談話室はイギリスルネッサンス初期のジャコビアン・スタイル。
壁面のタイルペストリーは京都の泉涌寺の窯場で焼いたものだそうです。
色味、模様、風合い…とても素敵なタイルでした!
天皇陛下もいらっしゃったこともあるという特別室は、クイーン・アン・スタイル。
通称「鏡の間」と呼ばれている会議室は、装飾を抑えたアンピール・スタイル。
以下、日本綿業倶楽部のホームページからの引用です。
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各部屋のスタイルを変えたのは、世界各国の来賓や、会員の好みに応じて、
好きな部屋を選んでもらいたいという設計者の配慮によるものです。
様式のみならず、将来の本格的な冷暖房の普及を予想してダクトの径を太くして建物に内蔵させ、
当時からすでに、井戸水による冷風送気を行い、地下室に冷暖房設備のスペースを残すなどの工夫も見られます。
また、各部屋の窓に鋼鉄ワイヤー入り耐火ガラスを使用していたため、戦火をまぬがれました。
このようにこの建築はデザイン面の素晴らしさだけでなく、設備の面でも先駆的な試みがなされています。
まさに名実ともに戦前の日本の近代美術建築の傑作と言われ、高く評価されています。
開館早々には、リットン卿らの率いる英・米・仏などからなる国際連盟満州事変調査団の来館、
その後も、各国の要人が来館し、国際会議の場としてもよく利用されました。
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見応えのあるとても贅沢な空間で、施設見学も大いに楽しみました!
国の基本方針において、住宅や多数の者が利用する建築物の耐震化率を
平成27年までに少なくとも9割とする目標を定めるとともに、
「国土強靱化アクションプラン2015」等においては平成32年までに95%とする目標を定め、
国や地方自治体により、建築物に対する指導の強化や計画的な耐震化の促進が図られていますが、
平成25年時点の耐震化率は、住宅が約82%、多数の者が利用する建築物が約85%に留まっている現状です。
まだまだ耐震化100%への道のりは長いですが、
今回の会に参加されていた方々が一様に「家は第一に家族の命を守る存在でなければいけない」という意識を持ち、
日々家づくりに向き合っている姿勢を感じることができた一日でした。
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