東京都 N様/2013年 お引渡し
家族構成:ご夫婦・お子様・お母様
この土地にN様のお祖父様が家を建てたのは、遡ること90年前。 以来、何度かの改築を経て住み継いできた、家族の思い出がたくさん詰まった大切な住まいでした。
和室の連なる昔ながらの日本家屋であったN様邸は、建築家によるリノベーションで明るいシンプルモダンの住まいに姿を変えました。 ご家族の暮らしの変化に寄り添うフルリノベーションの実例を、N様のインタビューと共にご紹介いたします。
リノベーション前の住まい。
インタビューの様子
N様のお母様の生家であり、90年前に建築されて以来、ご一家は代々この地にお住まいでいらっしゃいました。ご結婚を機に一度は奥様とマンションに移られたN様ですが、お父様が亡くなり一人暮らしをされていたお母様を案じ、ご同居を始めることを決意。
当初は建替えをお考えだったN様は、設計事務所やハウスメーカー数社を回られました。将来のリフォームを見据えて、敢えてRCではなく融通の利く木造に絞って施工会社探しをしていらっしゃったところ、弊社と巡り合ったそうです。
完成現場見学会に足を運び、モダンスタイルを軸とするデザインや、光と風を取り入れた明るい住まいを得意とする弊社に魅力を感じてくださったとか。
しかし各社から提案を受ける中で、計画地が斜面であることや、諸々の条件により思いの他費用がかかってしまうことがわかりました。そこで、既存の住まいの骨組みを残してデザインや間取りをがらりと変える、フルリノベーションを選択されたそうです。
家族構成の変化に伴う間取りの変更のほか、N様が希望されていたのは、明るい住まいにすること。特に、東南向きにも関わらず薄暗かったリビングを明るくすることでした。
今回のプロジェクトにおいて最も苦労されたのは「どの会社に依頼するか」だったと語るN様は、弊社との家づくりを決めた理由を次のように話してくださいました。
「テラジマさんの家には、『テラジマの顔』と言えるような特徴的なテイストを感じました。とにかくデザインが気に入ったことと、提案をしてくれたコンサルタントの原さんや設計の深澤さんのお人柄と丁寧な対応が決め手でした」
天窓のある2階リビング。
家族が集まる1階リビング。構造上必要な柱にはタイルを施し、デザイン上のアクセントに。
プランニングにおけるN様のご要望は、まず二世帯への家族構成の変化に対応した間取り。
1階はLDKとお母様の居室、2階はN様ご家族の空間とし、生活サイクルや活動の時間帯の異なるふたつの家族が気持ちよく暮らすことができるよう、動線を見直しました。間取りのみならず、キッチンの向きなど細かな調整も行っています。
お打ち合わせではN様と設計士の間で頻繁に確認をしながら、緻密に作り上げていきました。
「新築と違い、実際の建物があるので完成後のイメージがつきやすかったため、細かい要望を出すことができたのは良かったと思います。室内の間取りだけでなく、周囲からの見え方も随時確認しながら進めていくことができたので、フェンスの高さやガラスの種類などについてもより快適な空間を目指して、微調整しながら進めていけるところがよかった」とN様。
実際に出来上がったリビングは、ご希望通りの明るい空間を実現する大開口を持ちながら、外部からの視線が全く気になりません。
間取りのポイントは、ご家族全員が集まるLDKとは別に、2階にも小さなリビングルームを設けたこと。造作の本棚やテレビを設けて、家にいることが多い奥様がほっと一人でくつろぐことのできるスペースとして、お役立ていただいているとか。
また、この小さなリビングルームにつながる通路上には元々あった大きな天窓があります。
敢えて通路とリビングルームの間にドアを設けずひとつづきにしたことで、天窓からの光が差しこむ気持ちの良い空間になりました。
元々部屋は全て和室でしたが、洋室に変更。
床座の暮らしから、立座の動作が楽な洋室での暮らしに変わったことで、お母様の身体にも負担が少なく、より快適に過ごすことができるようになったそうです。
シンプルで上品なエントランス。
タイル使いが華やかなサニタリー。
そしてもうひとつのご希望は、シンプルモダンのデザイン。
弊社の施工事例を数多くご覧になったN様が「テラジマの顔」と称して下さった、私たちが得意とするシンプルモダンのデザインを希望されていました。
N様曰く「テラジマアーキテクツの物件は、特に白を基調とした配色が印象的だった」とのことから、N様邸においても白をメインカラーに設定。柔らかい色のフローリングが似合う、明るい雰囲気に仕上がっています。
リノベーションでは躯体を大きく改変することは少なく、施工上様々な制約がつきものですが、デザインを見直すことでN様のご希望だった「明るく開放的な家」を実現。元々その家や土地環境が持っていたポテンシャルを十二分に生かした、心地よい空間を作り上げることができました。
デザイン面では「ただキレイなだけではなく、細部まで丁寧に計画されていること」を希望されていたN様。
設計担当は、膨大な数の素材のサンプルを用意し、N様のご希望のテイストにより近づけていくことができるよう、試行錯誤を繰り返しました。
そして生まれたのは、シンプルながらも個性を感じる、繊細で美しい空間。
石やタイルなどの素材の質感をうまく組み合わせた柱や壁面の装飾は、空間のシンプルさを損なわずにリズムと華やぎを生み出しました。
N様に今回のリノベーションのご感想を伺うと、「完成した家はほとんどイメージ通りでした」とのお答え。
「コンセントの位置をもう少しこうすれば良かった、収納はこうすれば・・・など、住み始めてから気づいた部分もありますが、デザインや動線など、当初のイメージとかけ離れることなく、思い通りの家ができました」と嬉しいお声をいただきました。
「中学生と小学校高学年の二人の子どもには、年齢的にちょうど個室を与えるのに良いタイミングでしたし、母と同居する機会を与えられたことは教育的にもプラスだと思います。母にとっても、これまでのご近所づきあいを続けながら、家族と共に暮らすことができるようになって、喜んでいると思います」とN様。
住まいを新しく見直そうと考える時、まずは新築、建替え、それとも購入…と様々な選択肢を挙げることができると思いますが、N様ご家族のライフステージにおいて、今回のリノベーションはぴったりの選択であったと言えるようです。
ご家族の同居が始まった直後に、その一員に加わった可愛いトイプードルはもう1歳。
お邪魔した当日も元気に番犬を務めていました。
これからも訪れるであろう暮らしの変化に寄り添いながら、末永くご家族の幸せを支える住まいであり続けてほしいと願っております。
コンサルタント:原
施工管理:浦
施工管理:松井
お母様一人暮らしから二世帯住宅に変わるということから、家族を迎える側、入る側双方が楽しく暮らせるように配慮し、断熱・耐震・デザインを新築と同様のクオリティに仕上げました。この家で皆様が末永く幸せに過ごしてくださることを願っています。