東京都目黒区I様/2019年4月竣工
家族構成:ご夫婦(40代)・お子様2人(建築時:小学5年生・中学1年生)・犬
2019年竣工のI様邸は、中庭を中心にロの字を描く、回廊型の邸宅です。
1階にLDKと和室、2階には家族の個室やセカンドリビング、水回りを配置。その中心に中庭があることで、どこで過ごしていても光と風、そして家族の気配を感じることができます。
季節外れの暑さだった、5月のある日。
I様邸の玄関を一歩入ると、心地良い風を感じます。柔らかく、外よりも幾分涼しい風。邸宅の中心にある、中庭の窓からでした。
10㎡程の広さに、シンボルツリーのシマトネリコと、読書に丁度良さそうな一人掛けの椅子がひとつ。シンプルだけれど、絵になる――そんな佇まいの中庭です。
竣工当初はバーベキューなどアクティブに使うことも考えたものの、邸宅の中心にあるだけに、キッチンからも廊下からも、いつも目に入る場所です。
「過ごす」「眺める」のバランスを考えた結果、あまり物を置かず、スッキリとした状態を楽しむことにされたそう。
そんな中庭の横、階段下のスペースに目をやると、ハンモックがありました。
「中庭の窓を開けて、空気を入れ替えながらハンモックに揺られると、本当に気持ち良いんですよ。寝転がると、空がすごく綺麗に見えて。犬と一緒にゆらゆらしてる時間が至福の時です。」と奥様。
是非そのアングルで写真を撮らせてください!としゃがみ込み、見上げると…。
中庭の壁で切り取られた空が、2階の窓に映り込み、広がっています。そこに、最近剪定したばかりというシマトネリコの鮮やかな緑が添えられ、なんとも涼やかな景色です。
奥様はかねてより、「和モダン」の家が理想でした。間取りから内装まで、ご主人がほとんど任せてくれたそうで、「私の理想を詰め込んだ家です。」と奥様はおっしゃいます。
改めてLDKを見てみると…フローリング、キッチンや収納の面材、天井の間接照明~軒裏につながる部分。木のあたたかみが欲しかったという奥様の希望通り、空間全体に木がふんだんに使われています。
「建築関係の雑誌や間取りを見るのが好きで、和モダンが好みとか、子供の顔を見られるようにリビング階段が良いとか、理想みたいなものはずっとありました。
間取りは一発で『これだ!』というものを出してもらえましたし、打合せもポンポン進みました。深澤さんや加藤さんがご提案してくださるものがいつも私の理想に近かったので、決めやすかったですね。」
I様邸の間取りで特徴的なのは、リビングが一段下がってスキップフロアになっていること。リビングのみ床材をタイルにして、視覚的にも明確にゾーニングされています。
このスキップフロアも、奥様のリクエストだったそう。
「リビングはおこもり感が欲しいな、と思っていました。包まれるような、落ち着ける空間にしたいなと。スキップフロアにして正解でした。この段差が、ベンチ代わりに腰かけるのに丁度いいんです。来客時に人数が多くてもみんな座れますし、子供たちが学校から帰ってきたあと、まずここに座るんです。なんだか落ち着くみたいで、そのまま結構な時間を過ごしていますね。」
そしてもうひとつ、是非ご紹介したいのがキッチンです。
リネアタラーラで造作したキッチンは、人気のアイランド型。加えて、壁一面に大容量の収納を備えています。そのこだわりぬいた仕上がりは、キッチン専門の雑誌にも取り上げられたことがあるほど。
これまでの取材で度々話題に上がっていたのは、鉄板を埋め込んだカウンターです。朝は手早く朝食を済ませられ、夜は家族でお好み焼きディナーを楽しんでいます。
…というのが、竣工当時のエピソード。
正面がリビング、左手に進むとキッチンがあります。家事のための「裏動線」兼、お子様の作品のギャラリーになっています。
それから5年が経った今、改めてキッチンのこだわり&こうして良かった!というポイントを伺うと、まず出てきたのは収納についてでした。
「ウォーターサーバーを隠した収納です。実家でも同じように収納で隠していたのですが、中に熱がこもって熱くなってしまったんです。それを深澤さんにお話して、上に通気口を作ってもらいました。熱がこもることもなく、見た目も良くて完璧です。
それから、動線も良かったです。回廊型の間取りなので、玄関からまっすぐキッチンに行けて、買い物帰りの動線がすごく楽なんです。もし玄関~キッチンをつなぐ廊下がなかったら、リビングを通って遠回りしなきゃでしたからね。
キッチン横のパントリーも広く作ってもらったので、食事に関するものを全部収納できています。家事は毎日のことなので、ストレスなく楽に動けるのが本当に助かります。」
竣工当時、「可愛い!」と話題になっていたのが、子供部屋のピンクのボルダリングの壁。お嬢様が軽々のぼっているお写真が、とても印象的でした。
2つの子供部屋はシンメトリーに並び、ロフト部分で繋がっています。それぞれ個室にいてもロフトに登れば一緒に遊ぶことができ、寝るときも寂しくありません。
しかし、小学5年生と中学1年生だったお子様たちも、高校生になりました。
「ロフトの繋がっているところにドアをつけてほしいと言われ、作っていただきました。一人が勉強していて一人が電話をしていたりすると、声が気になっちゃうみたいです。小さい頃は良かったんですけど…もうプライベートな空間が欲しい年頃ですね。」
他にも、お子様の成長に伴い「こうしておけば良かった!」ということが出てきたそう。
「お風呂の順番や長さで喧嘩するようになって、シャワールームを作っておけば良かったと思いました。テラジマアーキテクツで建築した知人から、『シャワールームを作っておいた方が良い』と言われていたんです。その時は『うちは要らないかな…』と思い作らなかったのですが、こういうことか…と納得です。」
OBからのアドバイスもあった、お風呂問題にシャワールームという解決策。今は必要なくとも、将来欲しくなるもののひとつのようです。色々と優先順位はありますが、長く暮らしていくためには変化に備えることも大切だとわかる、経験談です。
インタビューの最後、奥様がお話くださったのは、設計担当の加藤への感謝のお気持ちでした。
「加藤さんには本当に感謝しています。家づくり中は理想を叶えるために色々とアイデアを出してくださいましたし、住んでからも何か困ったことがあるとご相談しています。ロフトのドアをつけたいとか、何かが傷ついたり壊れたり、ちょこちょこ出てくるんですよね。そういうのを全部解決してくださる。いつも申し訳ないと思いつつ、今でも繋がっているというのがすごく安心できます。」
アフターサービスにご満足いただけている様子に、一安心です。
この5年で、ワンちゃんを飼い、お子様も大きくなったI様ご家族。色々な変化のなか、頼りにしていただけること、その幸せな暮らしに寄り添えることを、嬉しく思います。
コンサルタント:深田 直
設計:加藤 直美
施工管理:浦 茂嗣
キッチンに鉄板を入れようという事になり
皆さんで鉄板を囲んで楽しまれている姿を想像し
計画段階からワクワクした事を思い出します。
オフィスでの打合せも学校帰りのお嬢様たちが合流されたり
ピンク色のボルダリングはホールドの位置をお嬢様に決めて頂いたり
ご家族皆様でご参加して頂いた打合せはとても楽しい時間でした。
お引渡から5年が経過し生活にも変化があったとの事。
今後とも末永くお付き合いさせて頂きたいと思います。