眺望を第一に選んだというお施主様の言葉通り、遥か遠くまで見渡せる丘の上の邸宅。大きく広がる空と景色を愉しむための空間であり、お施主様の仕事場を兼ねた住宅でもあります。
◆関連記事◆
・More Life Lab./建築家の視点「「借景」を楽しむ住まい」
・More Life Lab./建築家の視点「“個を確立する”ワークスペースの考え方」
「住まいの環境デザインアワード2017」東京ガス賞受賞
玄関ホールの正面には桜並木が広がり、階段に沿って視線を上げるとそこには大きな空が広がります。景色が映り込むように、床は鏡面タイルの仕上げとしています。
主役である空とみどり桜並木を愉しむため、リビングは2層分の吹抜空間。開口部は最大限にまで大きく取っています。2階への階段は踊り場で折り返すと吹抜空間に出てくるよう配してあり、視点の変化が楽しめる動線になっています。
リビングスペースはわずかに床を下げて変化を付け、通常の天井高であるダイニングとキッチンが連続し、大面積ながらも変化のある空間に。開口部の窓台部分には、段差を活かしてTV台としても機能するように配線が仕込まれています。
外周に巡らされたデッキスペースに出れば目の前には桜の木。この敷地でしか味わえない開放感を最も感じられる場所になっています。
シアタールームとしても機能させるために、細かな工夫を凝らした和室。横に細長く切られた開口部には、障子の代わりに和紙を貼った戸襖を用い、光を完全に塞ぐために特別なディテールとしました。
大きな開口部とガラスで区切られた水廻り空間はシンプルに白でまとめて、オープンな洗面カウンターをアクセントに。見せる収納と見せない収納を分けて、収納力と使い勝手を両立させています。