東京都新宿区の閑静な住宅街に建つ邸宅です。
この邸宅の魅力は、中庭を囲む開放的な生活空間。都心部で往来の多いエリアであることから、敷地中央にある中庭に対して開き、外に閉じる都市型住宅タイプのプランとなっています。また、内外装ともに木を使用し、温かみのある心地よい仕上げに統一。まるでオーナーさまのお人柄を体現するような、優しく大らかなイメージの住まいになりました。
そして大きな特徴は、音楽一家であるK様らしい、大きな音楽室を備えていることです。
ミニコンサートも開けるほどの広々と大きな音楽室は、いつか教室を開くことを想定したもの。今は、お子さまたちの日々のレッスンの場として活躍しています。
重心が上にある分、一階部分の壁に重厚感のある素材を使ってバランスよく仕上げた外観デザイン。門扉とチャコールグレーのガレージドアが全体を引き締めています。板張りの軒天は、あたたかみのある邸宅内の仕上げと調和します。
横格子の門扉の先に、階段状のアプローチがあります。軒天や邸宅内のインテリアと合わせて天井を板張りにしています。間接照明を使って印象的な空間に仕上げました。
アプローチから続く間接照明と、その先に広がる中庭、フォーカルポイントとなる植栽が視線を誘導。抜け感のある玄関ホールです。
シンボルツリーは、庭の奥のリビングを直接見せないための目隠しの役割も果たしています。
玄関横の洗面台。しっかり手を洗うことができる大きめのボウル、自動水栓を備えています。
天板はサイルストーン。キッチンと天板部分の厚さを揃えて、統一感のあるデザインに仕上げました。
足元を浮かせて、すっきりと見せています。
中庭に寄せて設置した階段。自然光を遮らないスケルトン階段です。
シンプルなデザインであるからこそ、1階、2階それぞれに設置したスポットライトと照明スイッチの位置など、細かい部分を揃えて美しく仕上げました。
木を使ったぬくもりのあるキッチン。オーナーさまのご希望で天板は厚めに設定し、マットな素材感のデクトンを使用しました。
黒いKOHLER(コーラー)の水栓は見た目も機能的にも優れており、ショールームで一目ぼれをして採用したそうです。
アイランドキッチンとバックセット、ダイニングの収納は突板で揃えて統一感のある空間に。
■ Kitchen:Living Products(リビングプロダクト)
中庭や2階のフリースペースとつながる大きな吹抜けのあるリビング。
造作のテレビラックはキッチンとデザインを揃えています。
ご主人さまはこのソファでゆっくりと過ごされるのが好きということから、リビングが賑やかに集う場である一方、時にはリラックスした雰囲気を作れるよう、天井やテレビラック下に間接照明を計画しました。
お子さまがボールを使って遊ぶことを想定した空間。植物はシンボルツリーのヤマボウシと下草を玄関正面に寄せてコンパクトに植え、余白を広く取りました。
壁についているのは、ヤマボウシを照らすスポットライトです。
家事室とつながる洗面室。ボウルは2つあり、片方はご主人さまの希望でシャワータイプの水栓を設置しました。
大きなミラーもあり、家族が並んで身支度することもできます。
ミーレの洗濯機とガス乾燥機(乾太くん)が並ぶ家事室。足元に並べ、その上にアイロンがけなどのしやすい大きな作業台を取りました。上部には制服などをかけておくことのできるパイプを通しています。
窓が並ぶ明るい二階廊下。二階には音楽室があり、ゲストを迎えることも想定しているため、そのための洗面台を設けています。
奥には子ども室、家族共有のフリースペースがあります。
奥さまやお子さまが楽器を演奏されることから、この家を建てる大きな動機のひとつになったのが、この音楽室を作ることでした。
18帖のゆとりある広さと、3mの高天井の大きな空間です。
造作の棚とデスクは、お持ちの楽譜などが納まるように計画。テーブルの一部の奥行きを少し広めに、バイオリンをケースから出し入れするための場所をつくるなど、「楽器を演奏する」という一連の動作に配慮してデザインしています。
また、壁に設置したシームレス照明はあえてアトリエやギャラリーのような少し無骨さをイメージして選定。ヴィンテージな楽器や音楽と木の温かみのある優しいクラシカルな雰囲気の空間に少し異物感のあるモダンな要素を加えることで、シンプルながら少しひねりのある、空間の可能性を広げる演出をしています。
吹き抜けの上にあり、リビングとつながる二階のフリースペースは、お子さまが2人並んで勉強出来る広さを確保しました。本棚とデスクは造作しています。子ども部屋にも机を置いていますが、一緒に本を読んだり、兄弟姉妹で勉強を教えあったりするなど、それぞれ使い分けています。
斜線制限に合わせて傾斜する天井を利用した、高さのある子ども部屋。梯子の上にはロフトがあり、おもちゃなどを置いて友達と遊ぶための空間になっているそうです。子ども室自体はコンパクトですが、高さがあることで抜け感が生まれ、広々と感じられます。