都心に建つ二階建ての邸宅。ご夫婦ともにクリエイターであるS様のご希望は「アトリエのような家」でした。
生活空間は主に一階に集約し、中庭を囲むように配置。シンボルツリーを植え、時間とともに変化する美しいその姿を暮らしの景色として取り入れました。
また、生活空間のほかにそれぞれが創作活動に没頭できる作業部屋を広めにとり、奥様がデザインする光のアート作品を展示するギャラリースぺースを計画しています。
邸宅全体のデザインに通底するのは「光と影の美しさ」。細かな配慮を重ねた照明計画により、日々の暮らしがより美しく引き立つような住まいが生まれました。
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大小の箱を重ねたようなシンプルな外観。その壁面に走る光芒が、邸宅の存在感を高めています。
夜になると二階の大きな窓からは奥さまの照明ギャラリーの明かりがこぼれ、星が降るような煌めきが邸宅を彩ります。
黒い大判タイルを敷き詰めた玄関ホール。来客や照明作品を飾ることを想定し、広々と計画しています。
玄関に入ってすぐに目に入るのは明るい中庭。邸宅全体において、灯りが映えるよう室内の照度をやや落としています。
二階への階段は、中庭を囲む回廊の一角に設けました。壁に石を貼り、明かりによってその凹凸が美しく浮き立つ様子を愉しめます。二階の床材に合わせて段板には木を使用。白い手摺を合わせて軽やかに仕上げたスケルトン階段です。
4面を窓に囲まれたライトコート。邸宅内のどこにいても、シンボルツリーの美しい姿を愉しむことができます。中庭から採り入れた光を室内にくまなく拡散するため、白いタイルを敷き詰めました。
壁際に並べたダウンライトやペンダントライトなどのライティングを愉しむダイニング・キッチンは天井高を抑え、自然光を取り込みたいリビング部分は高天井とし、ハイサイドライトを設けました。
中庭と外庭に囲まれた配置とし、昼は光と風が楽しめる抜けの良い空間に、夜は美しいライトアップを眺めることができるように計画しています。
シンボルツリーのふもとに間接照明を設置し、夜はイルミネーションのような華やかな景色を愉しめるように計画しました。リビングには中庭のほか、もうひとつの庭が接しており、リビングから見える箇所には様々な光の演出を施しています。
ご夫婦それぞれに作った専用の書斎とアトリエ。作業内容に合わせた必要な機材、デスク等が配置できるよう、広めに計画しています。ご主人さまの書斎には二面の大きな窓、奥さまのアトリエにはライティングレールがあります。
二階のセカンドリビングは、奥さまの照明作品の展示にも利用できるオープンスペースにもなるよう、引き戸で間仕切りする仕様としました。通りから見える唯一の窓があり、窓際に作品を飾ると外からも煌めく作品たちの姿が見えます。