リノベーションで実現できるのは、単に間取りや設備を思い通りに変える、ということだけではありません。
理想のデザインを叶えることも、建物の性能向上の一つです。
それは、建築家が最も得意とするところ。
そんな実例をご紹介したいと思います。
「建替えにはまだ早すぎるけれど、自分のイメージしている理想の住まいとは違う。何とかなりませんか」
このようなご要望からプロジェクトはスタートしました。
13年前、T様は都内の住宅街の一角にご自宅を建てました。
しかし、出来上がった住まいは思い描いていたものとは異なる印象のものでした。せっかく建てた我が家ということで、大切に住んでいらっしゃったものの、理想の家への思いは募るばかり。そこで、建替えをせずに、イメージを変えることはできないか、と思い立ち、テラジマアーキテクツにご相談いただいたのだそうです。
早速現地の調査に伺うと、そこにあったのはよくある三角屋根の外観を持つ住宅でした。T様からのご要望は、外観をがらりと変えたいとのこと。
塗装を変える等の細かな変更では、大きなイメージの変更は得られそうになかったため、写真のように、すっぽりと建物を覆う形で新しい外壁には天然石を用い、華やかで上品な雰囲気に仕上げました。また、長めのアプローチを新たに設け、邸宅を訪れたお客様に期待感を抱かせる演出を施しました。
そしてもう一つ、大きく変わったのは浴室です。
それまで落ち着いた配色のタイルを用いていたため全体的に重たい雰囲気でしたが、T様のご要望は「リゾートホテルのように明るく気持ちのいい浴室」でした。
そこで、バスタブはホテルでよく用いられる大きめのラウンド型のものに、壁面や床面のタイルは白を基調としたものに変更。洗面とバスルームの仕切りには、ガラスを用いて、雰囲気をガラリと一新しました。そして間接照明を活用し、ホテルのような居心地の良い空間に。更に、新たに深いブラウンの洗面カウンターを設けて、落ち着いた大人の雰囲気を演出しました。
このように色々な素材を組み合わせ、光や色合いを計算した緻密な空間づくりは、まさに建築家の真骨頂です。
デザイナーズならではの今回のリノベーションに、T様は大満足。現在も、大切に大切にお住まいになっています。
住まい手に愛されるデザインを実現することで、建物に新たな命を吹き込むことができました。